さらなる高みを目指し、税理士からコンサルティングへ挑戦
大学卒業後、OAG税理士法人にアシスタントとして入社し、税理士資格を取得。税理士業務を行った後、OAGコンサルティングの立ち上げメンバーのひとりとなる。現在はクライアントの事業成長を支援するビジネス・ITコンサルティング事業部の責任者を務める。
「女性には難しい」と言われた時代を乗り越えて
Oさんのキャリアはどのようにスタートしましたか?
私が社会人になった頃は女性が社会に出る風潮がまだなく、両親からは「手に職をつけなさい」という教育を受けていたので、大学生の頃に税理士資格の取得を目指すことにしました。実は公認会計士の試験を挑戦することも考えたのですが、当時は合格できる自信がなく……。それで少しずつ科目合格を積み重ねられる税理士を目指すことにしました。
ただ、在学中に税理士資格取得な5科目のうち1科目も合格できず、卒業後の1年間勉強に専念して2科目合格しました。その先は親から「働きなさい」と言われ就職活動を始めたのですが、就職試験を受けた1社目がOAGの前身の会計事務所でした。
そうしてOAGに採用してもらい、入社後は仕事をしながら勉強漬けの日々が続きます。仕事が終わるとすぐに資格学校に行って授業を受け、土日も1日中缶詰で勉強するという生活を続け、何とか入社2年目に税理士資格を取ることができました。
税理士資格をとってから、仕事に変化はありましたか?
実は税理士資格を取ってから他の事務所への転職も考えたのですが、ここまで応援してくれた会社に報いたい気持ちがあり、資産税部のアシスタントとして仕事を続けることになります。ただ、私の本音としては税理士として法人の顧問業務に携わりたかったので、代表に直談判しました。当時は今と違って、「業務未経験でしかも女性には顧問業務は難しい」という考えが残っていたのですが、直談判から一か月後には希望する部署に配置転換となりました。
ただ、実際に色々な会社の顧問となり、経営者の方とお話をすると、自分の知識の幅の狭さを痛感させられましたね。それに、法人の顧問業務は税理士の代表的な仕事ですから、全国に7万人ほどいる税理士の中で上を目指すには、何かプラスアルファの専門性を身につけたいと思うようになりました。
なるほど。それではどのように専門性を高めていかれたのでしょう?
国際税務や知的財産分野に強いなど、いくつかの分野で大家と呼ばれる先生の勉強会に入れてもらいました。ただ、そこで感じたのは先生たちと自分との差でしたね。トップクラスの専門性をもつ先生は、それこそお酒のつまみに税法の条文を読むような方ばかり。私も決して勉強が嫌いなタイプではないのですが、トップクラスの先生方と同じレベルを目指すのは難しいと感じていました。
そうした経緯で、私は、自分ひとりではなくチームとして付加価値を出せるコンサルティングの方向に進もうと考えたのです。もともと、社会を動かしているビジネスの構造を知りたい、経営に近いところでお客さまの力になりたい、という気持ちもありましたから。そして私は、現在のOAGコンサルティングの立ち上げに関わることになり、今に至ります。
決まった手順がないコンサルティングの難しさとやりがい
今Oさんが事業部長を務めているビジネス・ITコンサルティング事業部の仕事について教えてください。税務顧問の仕事とどのような違いがあるのでしょうか?
お客さまの事業戦略立案や中期経営計画策定の支援、業績悪化企業の再生コンサル、ITを活用したDX推進や業務整流化支援など、様々な経営課題解決に取り組んでいます。規模としては売上数億円から300億円程度の企業様が中心です。
税務の仕事とコンサルティングの大きな違いは、お客さまとの関わり方でしょうか。税務は毎年同じお客さまの担当を続けるのが一般的ですが、コンサルの場合は1案件あたり3ヶ月から長くて1年程度。出会ってその会社の課題解決に向き合い、そしてゴールを迎えたらきちんとお別れする。お客さまにとって私たちは、いつまでも頼られる存在ではなく、自立して前に進んでいただくためのプロのお助け隊というイメージです。
お客さまの課題解決につながると、感じるやりがいは大きいのではないでしょうか?
もちろんやりがいは大きいのですが、大変なことも多くあります。通常の税理士業務であれば、ある程度決まった手順があって、きちんとやればいずれ申告書提出で完結しますが、コンサルティングの場合は決まった手順がなく、お客さまのニーズも企業それぞれです。
これまでの知見をもとにアドバイスをしても、中々受け入れて頂けず新しい打ち手に踏み切れないこともあります。そんな時は、マーケットの状況や競合他社の動向など客観的なデータを示して根気強く説明し、対話をさせていただきます。
常に学び続ける姿勢をもち、自分らしいキャリアを描く
コンサルティングの仕事をするうえで、Oさんが大切にしていることは何ですか?
大切なのは、常に学び続ける姿勢だと思います。税務の知識はもちろん、経営、マーケティング、IT、業界動向など、幅広い分野の専門性が求められます。
その点、OAGにはいろんなバックグラウンドを持つ人材が集まっています。前職が金融機関だった人、メーカーなどの現場出身の人、会計士として監査法人にいた人など。そうしたひとりひとりの知見を持ち寄ることで、お客さまに最適なソリューションを生み出せるのがOAGの強みですね。
女性としてのキャリアを切り開かれたOさんから見て、今のOAGはどう感じますか?
今のOAGでは特に女性の活躍が目覚ましいと感じています。OAGコンサルティングでも女性の採用が多く、優秀な女性がどんどん力を発揮しています。マルチタスクをこなす彼女たちの働きぶりを見ていると、今後ますますOAGを引っ張っていく存在になるだろうと感じずにはいられません。
どのような人がOAGに合っていると思いますか?
向いているのは、このように幅広い知識を吸収し、状況変化に柔軟に対応できる人。そして何より、お客さま
のために全力を尽くせる情熱を持った人だと思います。
今は転職も珍しくない時代ですが、何か新しいことを始めた時、2〜3年で辞めてしまうのはとてももったいないです。本当の基礎力が身につくのは、3年程はかかるものだと思います。そこから応用ができるようになるには、5年から10年の時間が必要かもしれません。だからこそ、基礎力を身に着ける時間を大切にして欲しいと思います。
やりたいことができないと思ったら、それはきっと自分で限界を作ってしまっているから。私自身、若い頃は会計士を目指す勇気がありませんでしたが、今にして思えばチャレンジすればよかったかなと少しの後悔があります。だからこそ、皆さんには自分の可能性を信じて、まずはしっかりと基礎を固めてもらいたいです。そして、OAGという環境の中で、自分の武器を存分に生かしながら、オンリーワンのキャリアを築いていって欲しいですね。